法務

10.他の会社・団体との取引や協力

NPO法人は行政や企業、他のNPOなどと協力して事業を進めることもよくありますし、一般の会社と同様に取引も多く行っています。認定取得を目指す上では、そのような中で「特別な利益の供与」「営利・宗教・政治への寄付」「使途不明金」「利益相反取引」「独立性」など注意が必要な点がいくつかありますので、気をつけてください。

 

理事が経営する会社への資産譲渡

Q】理事が社長をしている会社から、NPO法人の所有する自動車を格安で譲って欲しいと頼まれました。どうすればよいですか?

A】こうした場合は原則、NPO法人の資産(自動車)を市場価格より大幅に安く譲渡することはできません。認定基準4では役員への「特別な利益の供与」として問題になります。

 

宗教法人・団体への寄付禁止

Q】会場をお借りした寺社や教会に会場費を払おうとすると、「寄付」でお願いと言われます。支払っても問題ありませんか?

A】認定を目指すのであれば、問題になります。認定基準4では「営利・宗教・政治の団体・個人に対する寄付」は禁じられています。したがって、先方の意向に沿って「寄付」として支出してしまうと認定基準に抵触する恐れがあります。この例だと、実態は会場使用の対価ですから、「会場費」として支払うのが良いと思います。

この例以外にも、会社や個人事業主への寄付もNGです。政党や政治団体、政治家への寄付も同様に禁止ですが、加えて政治資金パーティの会費も問題視されることがあります。注意して下さい。

 

NPOや自治体への助成金支給・施設寄贈

Q】今後の事業の中で、他団体への助成金支給や地元の自治体への施設寄贈を考えていますが、可能ですか?

A】認定基準で禁じられているのは「営利・宗教・政治」への寄付だけです。NPO法人や公益法人、社会福祉法人、学校法人、一般社団・財団法人などの非営利法人や地方公共団体への寄付(助成)・寄贈は問題ありません。

 

頻繁に発生する役員との取引への対応

Q】役員に講師謝金や業務委託費を払うことが多くあります。その度に理事会決議が必要ですか?

A】頻繁に謝金支払いなどが発生する場合は、講師の選定方法や講師謝金の扱い・金額、支払方法などを定めた謝金規程などを理事会で定め、それに基づいて運用するのが合理的です。役員であるという理由だけで不当に高い謝金を支給していると問題になる可能性がありますが、当然のことながら経験や実績、能力に基づいて謝金の支給額に差が生じるのは構いません。

 

会社内に事務所がある場合などの注意点

Q】知り合いの会社内に主たる事務所を置いており、会社の職員さんがNPO法人の事務をやってくれています。注意するべきことはありますか?

A】設立間もない団体だと、こういった事例もよくあります。団体にとってはありがたいことではありますが、やはり注意すべき点はあります。協力関係にあるとは言え、会社とNPO法人はあくまで別の法人ですので、後々のトラブル防止のためにも、無償・有償問わず使用貸借契約や賃貸借契約を書面で残しておいた方が無難です。また、会社の職員がNPO法人の業務を行う際には、自発的なボランティアとしてやるのか、業務委託等を受けて仕事としてやるのかも、お互いのために、覚書等ではっきりさせておいた方が良いでしょう。会社内の事務所であってもNPO法上の書類備え置きは義務となります。できれば専用の電話や表札、鍵のかかる机なども独立性を確保するために欲しいところです。

他にも代表理事・理事長の自宅を事務所とするケースも多いと思いますが、あくまで代表理事個人とNPO法人は別ものですので、面倒ではありますが、契約書や覚書で家賃・光熱水費・通信費負担の有無や使用時間・期間などについて定めておく方が良いと思われます。

 

●参考資料・図表出典(シーズ)

『認定NPO法人になるための運営指南書~国際協力NGO編』【改正NPO法対応】

NPO法人組織力アップ研修テキスト』

『認定NPO法人制度解説パンフレット』

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