法務

1.NPO法人制度の概要

NPO法人の設立も、会社や一般社団・財団法人と同じく、法令の規定に合致していれば設立が認められる「準則主義」に基づいています。ただ、「営利法人」である株式会社や、「その他法人」である一般社団・財団法人と異なり、NPO法人は「公益法人」の一種であり、その設立や運営の適正が期待されているため、設立時点でも設立後も、緩やかですが「所轄庁」のいわば「後見的監督」がなされるようになっています。

 

例えば、株式会社や一般社団・財団法人には「所轄庁」などありませんから、設立手続きの際も、「定款」だけが法令の規定に合致しているかどうかを公証人が確認して公証人の「認証」さえ得られれば、あとは登記関係の書類を調えて登記をすることができます。

 

そして、設立登記後は、そもそも「所轄庁」がありませんので、どこに報告もする必要もありませんし、定款を変更するときに公証人に変更する定款の認証を得る必要もありません。すなわち、株式会社や一般社団・財団法人は、設立後は、その法人内部の全くの自主管理、私的自治に委ねられています。

 

これに対しNPO法人は、設立時点で「定款」だけでなく設立手続や申請書類等が法令の規定に適合しているかどうかなどについても所轄庁により審査され、これらが法令の規定に適合している場合に初めて所轄庁の「認証」がなされます。また、設立後も、NPO法人は、所轄庁に毎年事業報告書等を提出する義務がありますし、その運営が適正でないときは所轄庁によって検査や改善命令などの監督的処分がなされることもあります。さらにNPO法人は、法人への市民の参加の自由や情報公開をNPO法の中で制度化していることも会社や一般社団・財団法人と異なっている点です。 このようなNPO法人の特徴は、先に述べたようにNPO法人が「公益法人」の一種として位置づけられ、その運営が適正で活発なものとなるように国家が期待していることの反映とも言えます。

 

このようにNPO法人が「公益法人」の一種として位置づけられていることから、NPO法人には、会社や一般社団・財団法人にない若干の税制上の優遇があるほか、所轄庁によりさまざまなNPO法人の活動振興策が講じられたりもしています。また、さらに、一定の基準を満たすことにより「その組織運営及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものとして所轄庁の認定(仮認定)」を受けたNPO法人については、寄付金控除などの優遇税制が適用されます。NPO法人の数は全国約49千法人に達しており、認定・仮認定NPO法人の数も600法人を突破しています。(下図参照)

 法務(NPO法人制度概要)

 

 

NPO法人化のメリット

QNPO法人になるとどんな良いことがありますか?

ANPO法人になると、「法人格」を取得しますので、いわば団体の「戸籍」が明確になり。このため、法人名で財産も所有できるようになりますし、法人登記によってその存在や組織の概要等が確認できますから、第三者も安心してそのNPO法人と契約等をすることができるようになります。また、NPO法人は、非営利の公益法人であることや、その設立や運営に所轄庁の認証や後見的監督がなされていることから、社会から会社や一般社団・財団法人とは異なった信頼を得ることが可能となります。行政から事業委託を受ける場合や、補助金・助成金をもらう場合などは、法人格を有することが条件となっていることがありますが、これなどもNPO法人となる利点のひとつと言えます。

 

また、認定・仮認定NPO法人として所轄庁認定を得るためには、NPO法が定める「認定の基準」に基づく審査がありますので、この審査を通過して認定・仮認定NPO法人として所轄庁認定を受けることができれば、認定に基づく大きな税制上の優遇ばかりでなく、同時にいっそうの社会的信頼をも獲得することができ、その法人の活動に大きな力をもたらすことができます。

 

NPO法人化による事務負担

QNPO法人になると大変なことはなんですか?

ANPO法人のみならず、会社でも一般社団・財団法人でも、法人格を取得すると税務署や社会保険事務所、労働基準監督署などへの届出などが必要になります。またNPO法人の場合は、所轄庁へも届出をしなければなりませんし、毎年、NPO法が定める事業報告書等も所轄庁に提出しなければなりません。

 

NPO法人は公益法人の一種であり、また情報公開と市民参加を重視している制度ですから、その運営を適正にする必要があります。事業報告書等の提出は、もちろん若干の手間がかかりますが、日頃適正な処理をしていれば、その際に作成した書類を調えて提出するだけのことですから、じつはそれほどの負担ではありません。

 

運営の適正は、その法人の組織や活動発展の基礎となります。届出や所轄庁への事業報告書等の提出は、むしろ運営が適正に行われているかどうかを自己チェックする機会であると考えるのが良いと思います。

 

認定基準の中にも、事業報告書等を所轄庁にきちんと提出していることが認定の要件として明記されていますので、認定(仮認定)を目指すNPO法人は、NPO法で定められている届出や報告をきちんとしておくよう心がけておくことが必要です。

 

「非営利」の意味

Q】「非営利」とはどんな意味ですか?

A】「非営利」とは「非分配」という意味です。営利に対して、「非営利」とは、団体が利益を上げてもその利益を構成員(会員など)に分配しないという「非分配」を意味します。つまり、「非営利」とは、利益を上げてはいけないという意味ではなく、「利益があがっても構成員(社員など)に分配しないで、団体の活動目的を達成するための費用に充てること」と説明することができます。その年の「利益(収益)」や解散時の「残余財産」を構成員で山分けしないということです。

 

よく誤解されがちですが、「非営利」=「無償」「無給」ではありませんので、NPO法人であっても対価を取る有償サービスを行ったり、職員に給与を払うこともできます。継続的な活動には、内部留保も必要となります。認定取得においても、有償・有給・内部留保があることは問題ありません。

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